阿説 未来世紀


 神殺し 親殺し 子殺し 
 一昨年の 国旗の赤丸の暗殺が大きな狼煙
 組織が出来たのは3年前の同じ日 
何の因果か日付は2・26 
 平成から明鑑 そして2069年からの年号 
 天夷は音を立てて崩れだした
 本部より政府軍への先制の一撃
 冬の炎天下 更に同志を増やす戦線
 勝利を疑わない俺達は 勢いを増す
 そのころ西からの脅威が照準を合わす
 政府の後ろ盾の黒い中華連邦製 
 衛生からの焼き尽くすレーザーの光線
 弱体化した日本の占領を目論んでる事は
 一般市民でさえもみんな知ってる
 その昔 巨大な経済と武力とを誇った
 狂った ある国は自らの重さによる
 衰退の末、現代に甦った ソドム ゴモラ
 その後を 追おうとする 我が国よ
 
 2079 天夷10 組織創設4年 
 淀んだ空気は、そう簡単には変わらない
 増えては減り 増えては減っていく 仲間
 初期からのメンバーも随分いなくなった
 五年前 二人 共に銃を握った 親友の
 谷崎は夏のゲリラ戦 手榴弾に散った
 それぞれ 名誉の死だろうと 自殺だろうと
 ヤツラが もう居ない事は 変わりない
 さきに行った 多くの同志の為にも
 なにより今を生きる人達の為にと
 テロリストと冠詞のつく俺達の行動
 英雄になりたいなんて奴は1人も居ない
 
 革命前夜 早めのベッド まだ眠れない
 10数年 更に 昔を思う 
 卒業と同時に親父のコネで入った軍部
 政府の犬としてのランクは順調に上がった 
 計画の為に 自分を殺し 人を殺め 
 作戦の為に 自分を殺し 人を殺め
 自分の為に 自分を殺し 自分を殺し 
 自分の為に 人を殺め 人を殺め 
 昔からの疑問が大きくなって隠せない頃
 最初に思いついた最後の作戦
 忠実な犬を装って 数年後に 志願して
 スパイとしてレジスタンスに潜りこんだ
 と、1週間前 会議での俺の告白
 次に 最後の作戦の概要を説明し
 一同賛成の上で 更に 万全に練った
 明日は 半年ぶり 政府へ直接報告の日
 そこからは 全て 俺の演技にかかってる
 計画に則り 事態に 柔軟に
 それからは 1人1人の素早い行動にかかってる
 あとは いつもの場所で落ち合うだけ
 祝杯を用意して ニュースを待つだけ 
 何人が時間までに戻ってくるがは分からないが
 全員 帰る事が作戦の最後の1項
 もう何度 頭の中でシミュレートした事か
 きっと明日は全てうまく行くだろう
 今から数時間 いい夢を見れる事を